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計画倒れの原因は、早く終わってほしいという気持ちかもしれない

日曜の夜に、来週の計画を立てる。溜まっていた資料を片づける、読みかけの本を読み切る、金曜までに企画書を仕上げる。書いているときは、どれもできそうな気がしている。水曜には、もう半分が崩れている。

計画倒れは、たいてい意志が弱いせいにされます。

ただ、計画が崩れるのは、実際の進みが予定に追いつかなかったときです。進みが遅すぎたのかもしれませんし、予定に無理があったのかもしれません。意志の弱さで説明がつくのは、進みが遅かった場合だけです。

予定を書いたのは、日曜の夜の自分でした。その夜は、来週の終わりには全部片づいていてほしいと思っていました。

終わらせたい気持ちがあるなら、そのぶん早く終わりそうなものです。ところが、その気持ちは手を速める以上に、見積もりを甘くします。いつ終わるかを、実際より早い日付で見込んでしまう。その日付に実際の進みは追いつかず、水曜に崩れる。そう読める研究があります。

還付を待つ人は、早く仕上がると予測していた

Roger Buehler、Dale Griffin、Heather MacDonald は 1997 年に、早く終えたい気持ちが完了の予測をどう変えるかを調べています1。

まず、カナダの納税者に、確定申告の書類をいつ仕上げるかを予測してもらいました。税金の還付を待っている人には、早く終えたい理由があります。早く出したぶん、早くお金が戻ってくるからです。その人たちは、還付のない人より楽観的な予測を立てていました。

ただ、還付を待つ人がもともと楽観的なだけかもしれません。そこで次は実験です。参加者に単語を作る課題を出し、いつ終えられるかを予測してもらいました。一部の参加者にだけ、早く終えればお金がもらえると伝えてあります。

結果は調査と同じでした。報酬がある参加者は予測が楽観的で、予測と実際のずれも大きくなっていました。報酬で手が速くなったとしても、それ以上に予測が甘くなっていた。早く終えたい気持ちは、作業より予測を大きく動かしていたことになります。

予測を立てるとき、何を考えていたか

この実験では、予測を立てながら考えたことも書き出してもらっています。報酬がある条件では、これからの段取りについての記述が増え、以前の似た経験についての記述が減っていました。

前に似たことをしたとき、実際にどれくらいかかったか。これは見積もりを現実に引き戻す手がかりです。それが抜けると、段取りがうまく運ぶ前提で日付を出すことになります。

日曜の夜に考えていること

実験で、早く終わってほしいと思わせていたのはお金でした。日曜の夜にそう思わせているのは、来週の終わりには片づいていてほしいという気持ちです。きっかけは違っても、早く終わってほしいという点は同じです。だとすれば、日曜の夜の計画も、同じように甘くなっているのではないでしょうか。

片づいた机や仕上がった企画書を思い浮かべながら、来週の段取りを書いていく。先週の計画がどこで崩れたかは思い出さないまま、書き終えている。

計画倒れの原因は、水曜より前、日曜の夜にもうあったのかもしれません。

それでも、高い目標があるから人は伸びる

全部片づけたいと願うのは、向上心でもあります。高い目標を置くから人は伸びる、とも言います。計画を控えめにしろというのは、向上心を手放せということでしょうか。

そうではないと思います。実験で甘くなっていたのは、いつ終わるかという予測でした。目標は高くていい。困るのは、その目標に「来週のうちに」と日付をつけたときです。

日付をつけるのが今日の分だけなら、どうでしょう。今日やる数件を選ぶときにも、甘さは入ります。気持ちが強ければ、詰め込みすぎることもあるでしょう。それでも、外れたことはその日の夜に分かり、翌朝には入れる数を変えられます。それに、実験で抜けがちだった「前にどれくらいかかったか」も、昨日のことならすぐ思い出せます。

TodOne がどうしているか

TodOne では、どうありたいかを「ありたい姿」として書き、タスクをそこへ結びつけます。ありたい姿には、期日も達成チェックもいりません。いつまでにそうなるかは、書かずにおけます。

毎日の画面に並ぶのは、今日の数件だけです。向かう先はありたい姿に書いておき、毎日確かめるのは今日の数件が済んだかどうかです。

手帳が続かない話では、時間の見積もりがもともと甘くなりやすいことを扱いました。

全部片づいていてほしいと思いながら来週の計画を書くと、見積もりは甘くなりがちです。水曜に崩れる計画を、日曜の夜にわざわざ立てなくてもいいのかもしれません。


Footnotes

  1. Buehler, R., Griffin, D., & MacDonald, H. (1997). The role of motivated reasoning in optimistic time predictions. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(3), 238–247. ↩